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　山田芳裕

■■　作品紹介　■■

「大正野郎」　全２巻　（1988～1990）　講談社
	枠線は、全て筆で描いたような独特なタッチ、そして主人公は下宿に住まう、「大正」かぶれ。自分なりの「紳士」道を思い描き、その型に自分を填めることで悦にひたるという、そういう感じの青年が主人公です。コメディーといえばコメディーですが、どこかこう、ちょっと見栄っ張りで、そして身近に居そうに感じるような主人公の性格が、憎めないです。そして、作者なりの「背伸びをしてない＜ダンディズム＞のようなもんが、作品から感じられます。　一応、全２巻ではなく、「３巻へ続く」という事になってるんですが・・・。
「考える侍」　全１巻　（1990）　講談社
	西洋かぶれという程ではないが、どこかニヒルでロマンチスト、インテリな雰囲気を醸し出し、肉を切らせて骨を断つという豪快な剣術で刺客をうち倒す、一人の一匹狼なサムライの物語です。　とにかくその豪気さと、気持ちのいいほどのキザで、そして哲学者のような言動や行動は、特異というか実に面白いです。いわゆる幕末の剣士を描いているわけですが、混乱を描くのではなく、あくまで一人の浪人の粋な生き様を描くという、一味も二味も違った作品です。　代表作といっても過言ではないでしょう。
「しわあせ」　１巻　（1991）　講談社
	「しあわせ（幸せ）」ではなく、「しわあせ（しわ汗）」ですんで、注意（注意しても何にもなりませんが）。　とにかく善人だらけの＜未来社会＞が舞台。別に無理したり繕っているのではなく、心の底から＜善人＞になってしまっている人々・・・。どこかこう、違和感を覚えるくらい気持ち悪いんですが、その中で、昭和の”毒気”をこよなく愛する、一人の老人の孤高奮闘を描いています。　あまりの毒気というか、人間的な”暗”の部分が無い人間を描くと・・・、ここまで人間味が逆に無くなり、気持ち悪いものだとは思いませんでした。そして、その中で「おまえら間違ってる！」と叫びつつ、孤独に戦う一人の老人が、本当に哀れに見えてくる・・・。２巻は出てないんですよね～。
「ザ・プライザー」　全１巻　（1991）　双葉社
	原作は末田今日也です。
「やあ！」　全１巻　（1992）　講談社

「デカスロン」　全23巻　（1993～1999）　小学館
	全く注目をされたことのない、陸上10種競技「デカスロン」を、世に認識させた豪快な作品。ただし、上記の作品の流れとは、ちょっと違った感じになっていますので、昔を知っている人は、「昔の山田芳裕」と「今の山田芳裕」は、別である、という人が多いです（私もそんな感じがします）。　とにかく、この作品の目玉は、一瞬の勝負に至までの「ため」と、その勝負の＜一瞬＞を見開きで、無茶苦茶広角レンズな視野でパースを付けた描写、ほとばしる汗、躍動する筋肉の描写・・・。これに尽きるでしょう。　さらに、緩急の差を見事に使い分けた描写、どんでん返しの、さらにどんでん返しと、陸上競技、特に複合競技の醍醐味と駆け引きを、巧く取り入れて、面白く見せてくれます。まだまだ続きますが・・・。
「ザ・プライザー」　全１巻　（1999）　双葉社
	1991年発行分の再版です。
「泣く男」　全１巻　（1999）　双葉社

「大正野郎」　全１巻　（2000）　小学館
	講談社版「大正野郎」の文庫版。
「しわあせ」　全１巻　（2000）　B.S.P
	1991年に出版された分に、未収録を含めた完全版。
「度胸星」　全４巻　（2000～2001）　小学館

「いよっおみっちゃん」　1巻　（2001）　講談社